こんにちは。兵庫県西宮市にある医療法人社団 西宮北口ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
「子どもの歯並びが気になる」「あごが前に出ているように見える」と感じたことはありませんか。そうした状態は、もしかすると受け口（反対咬合）かもしれません。
受け口は成長とともに悪化することもあり、早期の対応が将来の噛み合わせや発音、顔立ちに大きく関わってきます。子どもの健やかな成長のためにも、受け口について正しく知り、必要に応じて治療や予防を検討することが大切です。
今回は、子どもの受け口の原因やリスク、治療法、予防策まで詳しく解説します。お子さんの歯並びが気になっている保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
受け口とは
受け口とは、医学的には反対咬合（はんたいこうごう）と呼ばれる不正咬合の一種です。通常、上の歯が下の歯より前に位置しているのが正しい噛み合わせですが、受け口では下の歯が上の歯より前に出ている状態を指します。
見た目では、あごが突き出しているように見えることが多く、しゃくれとも呼ばれることがあります。
この噛み合わせのずれは、あごの骨格や歯の位置、舌の使い方などが影響しているとされており、子どもの成長期に現れることが多いです。成長とともに目立つようになるケースもあるため、幼少期からの観察と対策が重要となります。
子どもが受け口になる原因
子どもが受け口になるのには、いくつかの理由があります。生まれつきの体質だけでなく、日常の癖や生活習慣も大きく関係しています。
遺伝的要因
受け口の大きな原因の一つが遺伝です。特に、あごの骨格や顔の形は遺伝の影響を受けやすく、両親や祖父母に受け口の人がいる場合、子どもにもその特徴が現れることがあります。
例えば、下あごが大きく前に出ている下顎前突（かがくぜんとつ）のような骨格の特徴は、親子で似る傾向があります。また、歯の生えるスペースが狭い、歯のサイズが大きいなどの要素も受け継がれることがあり、それが原因で噛み合わせにずれが生じる場合もあります。
後天的な要因
遺伝だけでなく、子どもの日常生活における習慣や環境も受け口の原因となることがあります。
例えば、長期間の指しゃぶり、舌を突き出す癖（舌突出癖）、口呼吸などの口腔習癖（こうくうしゅうへき）が原因となるケースがあります。これらの悪習慣は、歯やあごに不自然な力をかけ、成長にともなって噛み合わせがずれていく原因となります。
また、食事の際に柔らかいものばかりを食べていると、あごの発達が不十分になり、噛み合わせの不調を引き起こすことがあります。正しい姿勢や口の使い方も含め、後天的な生活習慣が噛み合わせに与える影響は無視できません。
子どもの受け口を放置するリスク
子どもの受け口は「そのうち自然に治るかもしれない」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、放置するとさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。ここでは、受け口を治療せずにそのままにしておくことで起こりうる主なリスクについて解説します。
噛み合わせが悪化する可能性がある
子どもの受け口をそのままにしておくと、成長とともに下あごがさらに前に出てしまい、噛み合わせのズレが大きくなるおそれがあります。
あごの骨は、子どもの成長期に大きく変化するため、早い段階で適切な対応をしないと、上下のあごのバランスがさらに崩れることもあるでしょう。噛み合わせが悪くなると、歯がすり減ったり、特定の歯に強い力がかかったりして、将来的に歯の寿命を縮める可能性もあります。
さらに症状が進行すると、大人になってから矯正だけでは改善が難しくなり、外科手術が必要になる場合もあるため、早期の対策がとても重要です。
咀嚼機能が低下する可能性がある
受け口のまま成長すると、上下の歯がうまく噛み合わず、食べ物をしっかり噛めなくなることがあります。
きちんと噛めない状態が続くと、食事に時間がかかったり、硬いものが苦手になったりして、偏った食べ方につながることもあります。また、十分に噛まずに飲み込んでしまうと、胃や腸に負担がかかり、消化に影響を及ぼすおそれもあります。
食べることは、子どもの健康な成長を支える大切な習慣です。咀嚼機能が低下すると、栄養の吸収にも影響が出るため、早めに噛み合わせを整えてあげることが大切です。
発音や滑舌に影響を及ぼす可能性がある
受け口の状態が続くと、舌や唇の動きが制限され、言葉を正しく発音しにくくなることがあります。とくにサ行やタ行などの音がはっきり発音できず、聞き取りにくくなることがあります。これは、舌が前に出すぎたり、唇がうまく閉じられなかったりするためです。
発音の不明瞭さは、本人が話すことに自信を持てなくなる原因にもなり、学校や友達とのコミュニケーションにも影響を与えることがあります。きれいな発音ができるようになるためにも、早めに噛み合わせを整えてあげることが大切です。
審美性の低下につながる可能性がある
見た目の印象も、子どもにとっては大きな問題となりえます。
受け口は、横顔や口元に特徴が現れるため、成長とともにコンプレックスを感じるようになる子どもも少なくありません。見た目に関する自信の欠如は、学校生活や人間関係にも影響を及ぼすことがあるため、精神的なケアの面でも早期対応が求められます。
子どもの受け口はどうやって治療する？
子どもの受け口の治療は、年齢やあごの成長の段階によって方法が異なります。特に子どもの矯正治療は、1期治療と2期治療に分けて行われるのが一般的です。
1期治療
1期治療とは、乳歯と永久歯が混在する混合歯列期（6歳〜12歳ごろ）に行う矯正治療のことです。この時期は、あごの骨がまだ柔らかく、成長が活発なため、あごの発育をコントロールしながら歯が正しい位置に並ぶように促すことができます。
1期治療では、マウスピース型の装置やあごの成長を促す装置を使うことが多く、無理のないかたちで噛み合わせの改善を目指します。早い段階で始めることで、あごのズレが大きくなるのを防ぎ、将来的な本格矯正（2期治療）の必要性を減らせることもあります。
2期治療
2期治療は、永久歯がすべて生えそろった中学生以降に行う本格的な矯正治療です。歯の位置や噛み合わせを、ワイヤーやマウスピースなどの装置を使って細かく調整していきます。
1期治療であごのバランスがある程度整っていても、歯並びがまだ乱れている場合は、この2期治療が必要になります。
ただし、受け口が重度の場合や骨格的な問題が大きい場合は、矯正だけでは対応が難しく、外科的な処置が必要になることもあります。そのためにも、できるだけ早めに歯科医院で相談することが大切です。
受け口の矯正は何歳から受けられる？
子どもの受け口の矯正は、早ければ5〜6歳ごろから始めることができます。この時期は、乳歯が生えそろい、永久歯が少しずつ出てくる混合歯列期にあたるため、あごの成長をコントロールしながら治療を進めやすいタイミングです。
早期に受け口を見つけて治療を始めることで、下あごが前に出すぎるのを防いだり、上あごの成長を促したりすることができます。成長を上手に利用できるため、将来的に大がかりな矯正や手術を避けられる可能性も高まります。
ただし、すべての受け口がすぐに治療を必要とするわけではありません。歯科医院で経過を見ながら判断することが大切です。お子さんの歯並びが気になりはじめた時点で早めに相談することで、治療のタイミングを逃さずにすみます。
子どもが受け口になるのを防ぐためにできること
受け口には遺伝の影響もありますが、予防できる場合もあります。ここでは、ご家庭でできる受け口予防のポイントを3つご紹介します。
口周りの癖を改善する
指しゃぶり、舌を前に出す癖（舌突出癖）、唇を噛む、頬杖をつくなどの習慣は、歯並びやあごのバランスに悪影響を与えることがあります。
これらの癖は口腔習癖（こうくうしゅうへき）と呼ばれ、長期間続くと歯やあごに無理な力がかかり、受け口の原因になることがあります。お子さんが無意識にしていることも多いため、やさしく声をかけて改善を促すことが大切です。
必要に応じて、歯科医院で口の周りの筋肉を鍛えるトレーニング（MFT）を取り入れるのも効果的です。
正しい姿勢や呼吸を意識する
姿勢の悪さや口呼吸も、受け口の原因になることがあります。猫背やあごを突き出した姿勢を続けていると、下あごが前に出やすくなり、噛み合わせのバランスが崩れることがあります。
また、口呼吸が習慣になると、唇を閉じる力や舌の位置が不安定になり、歯並びに悪影響を及ぼすことがあります。普段から鼻で呼吸することを意識し、椅子に座るときの姿勢や寝るときの体勢にも気を配るようにしましょう。
正しい姿勢と呼吸は、受け口だけでなく、全身の健康にも良い影響を与えます。
定期的に歯科検診を受ける
受け口を早期に見つけるためには、定期的に歯科検診を受けることがとても大切です。ご家庭では気づきにくい小さなズレやあごの成長の偏りも、歯科医師であれば早い段階で発見することができます。
とくに成長期の子どもは、歯やあごの状態が日々変化するため、定期的にチェックを受けることが推奨されます。年に2〜3回程度の検診を習慣にして、子どもの口の健康をしっかり守っていきましょう。
患者様の声
当院で治療を受けた患者様のお声をご紹介します。
お子さんの矯正で通院されている方の口コミ
子どもたちが小さい時から通わせて頂いています。優しく丁寧に診察していただけるので、怖がらずに通えています。矯正も始まり、しっかりとケアしていただけています。
お子さんと一緒に通院されている方の口コミ
子どもと一緒にお世話になっています。治療中等、都度声かけをして頂けるので、安心して治療が受けられます。院内も清潔感があり、気持ちよく通えます。これからも家族でよろしくお願いいたします。
まとめ
子どもの受け口は、見た目の問題だけでなく、噛み合わせ・発音・食事・心の発達など、さまざまな面に影響を与える可能性があります。原因には遺伝だけでなく、日々の生活習慣や癖も関係しているため、保護者の方が早く気づいてあげることがとても大切です。
早期に治療を始めて、あごの成長をうまくコントロールできれば、将来の負担を軽くすることにつながります。また、姿勢や呼吸、口の使い方を見直すことも予防につながります。「ちょっと気になるな」と思ったら、まずは歯科医院で相談してみましょう。
小児矯正を検討されている方は、兵庫県西宮市にある医療法人社団 西宮北口ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
当院では、小児矯正・成人矯正をはじめ、虫歯治療や歯周病治療、マタニティ歯科、ホワイトニングなどにも力を入れています。ホームページはこちら、WEB予約やLINE予約相談もお受けしておりますので、ぜひご覧ください。
小道俊吾
