院長の小道が第46回日本歯内療法学会学術大会(@長野)に参加しました。
〈院長コメント〉
2025年7月19日(土)、20日(日)の2日間、長野県塩尻市で開催された第46回日本歯内療法学会学術大会ならびに第23回日韓合同歯内療法学会学術大会に参加してきました。今大会のテーマは『「歯内療法の更なる飛躍」-世界のPeak を目指して-』というもので、北アルプス穂高岳を眺めながら一人ひとりのPeak が連なり山脈となる大会となれば、という思いが込められていました。
複数のプログラムに参加しましたが、今回の大会は「超高齢社会への対応」と「歯髄保存」の内容が特に多かったように感じます。超高齢化社会への対応では、特別講演で斎藤一郎先生(株式会社クレサイエンス/ ドライマウス研究会)が「ドライマウスから考える全身の抗加齢医学」という内容で話されていました。ドライマウスになると、唾液が減少し、う蝕のリスクが高まると言われています。そして、う蝕ができた後も唾液が少ない状態が持続することでう蝕が進行し、根管治療が必要になることもあります。ドライマウスの原因としては、シェーグレン症候群のような疾患や加齢によって唾液腺が萎縮することで唾液の量が減少すること、薬の副作用、水分の摂取不足など多岐にわたります。学生時代の講義では何度か聞いていたものの、日常臨床ではまだそこまで多く診るケースではなかったですが、今後ドライマウスを有する患者が増えてくると思われるので、それにも対応できるようになりたいと感じました。
歯髄保存の内容では、私の大学の上司である、大阪大学大学院歯学研究科 歯科保存学講座 林 美加子先生が、「究極の歯髄保護-う蝕をどこまで除去し、歯髄をどこまで残すか」という内容を話されていました。私自身の臨床経験や、自分が話しているセミナーの中でも歯髄保存の可能性や適応症例は増えていると感じていますし、最近では来院される方の中でも「神経を残すことができますか?」、「神経を残す処置を希望します。」と言われる方も一定数いるように思います。材料の進歩や歯髄に対する考え方の変遷により、これまでは神経を残せないと判断されていたようなう蝕が大きく進行した症例でも神経を残せることができるようになった一方で、神経を残すことによるリスクも忘れてはならないと感じています。具体的なリスクとしては、痛みの出る可能性や一度神経を残す処置をして再度根管治療が必要になった場合、根管が狭窄する可能性などが挙げられます。いい材料があるからどんな症例でも適応できるわけではなく、正確な診査診断・適切な説明と相互理解があったうえで、術式や材料が大事になってくるということを改めて実感しました。
今回の学会で学んだことを、明日からの診療でも活かしていきたいです。

















